NHK教育テレビ「直伝 和の極意 『華麗 優雅 にっぽんの色を染める』」※放送は終了しています


NHKで放送されている「直伝 和の極意」の感想です。
テーマは「華麗 優雅 にっぽんの色を染める」です。
8回にわたって放送されるそうです!パチパチパチ!!

講師は、植物染を専門にされている、吉岡幸雄さんです。
吉岡さんは、日本の伝統色を再現する試みをなさっています。
また源氏物語に登場する染めものの色も、
当時の資料を元に再現されています
(「『源氏物語』の色辞典」に詳しく書かれています)。

平安時代の染めものは、もちろん化学染料なんて使われているはずもなく
植物染なんですよね。
なので、当時の染めものの色はこんな色だったのかな、
平安時代の貴族たちは、このような鮮やかな色に囲まれていたんだろうな…
と考えると、とても楽しいですよね。

そんなわけで、この番組はとても楽しみです。
番組の感想は「イベントリポート」なのか、チョット苦しいところですが…
ここに含めるのが最もおさまりがいいのだと信じてみます(笑)

番組公式サイトは
こちらから

それでは、第1回(1月10日放送)の感想です!

第1回は材料が手に入りやすく、作業が簡単ということで
紅茶を濃く煮出した液を使った、紅茶染でした。
……。
…簡単なんでしょうか、これ。
いや、手間暇かかりますよ〜!
染色液と媒染液の中で交互に20分ずつ
布をゆっくり動かしながら染めていくということなんですけれど…
見ているだけでおなかいっぱい、ですね…
残念ながら、根気のない管理人に挑戦は無理な話のようです(笑)
「根気」、ユザワヤか東急ハンズで売っていないでしょうか!?

話を戻しまして、
媒染液の種類によって仕上がる色が大きく変わるということは
興味深いですよね。
話に聞いたことはありますが、こんなに変わるとは…
みょうばん(アルミ)を使うと、いかにも紅茶らしい茶色に
木酢酸鉄を使うと、灰色になっていました。

今後は染色の歴史についても取り上げていくそうです。
次回も楽しみです。



第2回(1月17日放送)の感想です。
今回は奈良の法隆寺や正倉院宝物、高松塚古墳を、
吉岡さんと羽田さんが回りながら、
奈良時代・飛鳥時代の色彩を紹介していました。

法隆寺の「四騎獅子狩文錦(しきししかりもんにしき)」は、
吉岡さんが復元したものを見ると、その鮮やかな色彩に驚かされました。

聖徳太子の妻が作らせたという「天寿国繍帳(てんじゅこくしゅうちょう)」の刺繍も、
これほど古い時代のものと思えないほど緻密でした。
染色や刺繍の技術が、すでにこの頃までに完成されていたことがわかります。

高松塚古墳の西壁女子群像で、
人物が身に付けている装束の色彩が
透明感のある鮮やかな色で表現されていることが、
当時の高い染色技術を証明するものだと解説されていました。
ところで…飛鳥時代や奈良時代の装束ってかわいいですよね…
いつもそう思っているんですが、今回も画面をしげしげと眺めていたら、
当時のスカート状の裳の裾に
フリルのような飾りがちらりと見えるんですよね。
かわいいですよね…
ここだけの話ですが、管理人は十二単よりもこの時代(特に奈良)の装束のほうが
好きかも知れないんです…(笑)

平城京跡に復元された第一次大極殿の柱の赤い色は、
もっとするどい色の方がふさわしいという話には賛成です。
自然の景観になじむ色ではなく
遠くからでも目立つような色の方が、
権力者がいるんだぞ〜!!というインパクトが出ますよね。

番組の最後で、日本は継続されている文化なので
古いものがたくさん残っており、
調べれば古い時代の現物を見られるので素晴らしいという話がありました。
例えば中国は戦乱や革命で、古い物も古くからの伝統も失われて、
今ではあまり残っていないと聞いたことがあります。
日本のように、それほど大きな政変の無くまったり続く歴史は、
古代のものを研究するには都合がいいんですね。
世界史のようなダイナミックさがなくて、
試験勉強のために暗記するにはタイヘンですけどね(汗)

次回は黄蘗(きはだ)という染料で植物染めをするそうです。
それではまた!!



第3回(1月24日放送)の感想です。
本日のテーマは「黄蘗(きはだ)で染める」でした。
黄蘗は木の皮からとれる染料で、
その名前の通り(?)黄色を染めることができます。
防虫効果もあるそうで、
奈良時代の経典は黄蘗で染められた和紙に書かれているそうです。
実際に、奈良時代に書かれたという写経の紙には
虫食いがありませんでした。
古い時代の書物はよく虫食いだらけになっているものですが…
コレは、すごい効果です!!
装飾のために和紙が染められるようになると、
経典の文字も金や銀で書かれるようになったそうです。

放送では解説の後に、黄蘗で実際に和紙を染めていました。
染料を刷毛でぬりつける、「引き染め」という方法だそうです。

ところで…こんな本格的な染料を
一般の人は手に入れられるものなのかと
管理人はTVを見ながらずっと思っていましたが、
専門店があり、ネットでも購入できるそうです。
興味のある人はぜひ!

さあ、次回はいよいよ源氏物語の話題が取り上げられるようです。
楽しみですね!



第4回(1月31日放送)の感想です。
今回のテーマは「四季を表す雅の色〜王朝の色彩〜」でした。
枕草子や源氏物語が書かれた時代の話です。
番組はまず、吉岡さんと羽田さんが
石山寺で紫式部像を見るところから始まりました。
紫式部はこの石山寺で源氏物語の構想を練ったという伝説があります。
ぜひ一度、管理人も行ってみたい場所ですね。

さて、話を戻しまして
紫式部像を見た後、
平安時代の植物染めの色彩の例として
季節ごとの重ねの色目をを紹介していました。
吉岡さんは、これらの色にはご自身の想像が入っていると断っていましたが、
多分こんな感じだったんだろうな…と見ていて思いました。
どれも鮮やかな色でした。
この時代は「季(とき)にあいたる」ことを重視したということで、
これらのきれいな装束は、1年のうちわずかな期間しか使わないのです
(もちろん、重ねの組み合わせを変えて使い回すこともあったでしょうけれど)
ぜいたくですね…。
袿の色の重ね方に付けられている名前である
匂い、薄様(うすよう)、裾濃(すそご)、村濃(むらご)の解説もありました。

そのあと源氏物語の「花の宴」で光源氏が着た
「桜の唐の綺の御直衣、葡萄染の下襲、裾いと長く引きて」
を実際に吉岡さんが作ったものについて解説がありました。
結構目立つ装束ですよね、これ。
政敵である右大臣の家に、これで乗り込んでいったんですね…
おお、怖(笑)
背中に「KILL YOU」って書いてあっても驚きませんよ(笑)
(↑桃白白しらない方はゴメンナサイ)
…ふざけすぎました。
番組を見ていて気がついたことですが、
テキストの写真と、テレビの画面で見た色で少し違いがあるようでした。
テレビで見た色の方が落ち着いた色で、
管理人はどちらかというと、テレビの色の方が好きです。
特に指貫の香色がいいと思いました。 人によって感じ方は違うかもしれませんが…

今回の内容は、平安時代の色彩に興味がある人なら
楽しめるものだったと思います。
次回は「インド茜」がとり上げられるそうです。
では、また!



第5回(2月7日放送)の感想です。
今回は「赤」特集でした。
まずは日本茜について、
平安時代の鎧「赤糸威大鎧(あかいとおどしのおおよろい)」を例に解説されました。
茜で染めた赤は耐久性が高いので、今も当時の色がそのまま残っているということでした。
この鎧は明治時代に修復が行われたそうですが、
そのときに化学染料で赤く染めた部分だけ早々に(!)退色してしまったそうです。
「古くなった安物の赤いリボンの色」と書けばおわかりいただけるでしょうか?

そして蘇芳について…
蘇芳はテキストに載っているだけで、放送では出てきませんでしたね。
退色しやすい染料なんだそうです。

話題が海外からもたらされた赤に移ると、
赤いソースせんべいのような円い束が出てきました。
これは「臙脂綿(えんじわた)」というものだそうで、
ラックカイガラムシとからとった色素をしみこませてあるそうです。
日本にはこの形で中国から輸入されたそうで、友禅染に使われたということです。
続いて南蛮貿易によって入ってきたものとして、真っ赤な陣羽織が登場しました。
小早川秀秋所用と伝えられる
「猩々緋羅紗地違鎌文様陣羽織(しょうじょうひらしゃじちがいかまもんようじんばおり)」です。
この赤はケルメスというカイガラムシからとった色素で染められたものでした。
赤い色素を得られるカイガラムシは他に
コチニールカイガラムシがあるそうです。
コチニールカイガラムシの赤は染料のほか食紅にも使われています
(管理人が前に聞いた話によると、
ピンクのかまぼこにはこれを使っているものがあるらしいです)。

本日のメインは、インド更紗の赤のもとであるインド茜でした。
木綿を赤で染めることは難しいそうですが、
このインド茜では工夫をすると染めることができるそうです。
番組ではインド茜を使ってスカーフを染めていました。
スカーフの材質は絹でしたが、
これは木綿を染めるのは素人にはタイヘンということなんでしょうね。
茜染めは紅茶染の時とは逆で、
媒染をしてから染色をするそうです。

赤を染める染料って、こんなに種類があるんですね。
「赤の染料なら『紅花』は?」と思った方はいますか?
ご心配なく。紅花については最終回・第8回で詳しく取り上げるようですよ!

次は江戸時代に流行した柿渋だそうです。
ではまた次回!!



第6回(2月14日放送)の感想です。
今回のテーマは、江戸時代の町人たちの間で流行した
茶系や黒系の色についてでした。
これらの色は、江戸時代の
豪華な着物を身に付けてはならないというおふれを受けて発展したそうです。
濃淡の違う色が作られたことはもちろん、
黒に関しては色味にも違いがあったそうです。
普通(?)の黒と、青みがかった黒が紹介されていました。

江戸時代は風土に合った衣類が作られていった時期でもあったそうです。
たとえば青森では冬の寒さをしのぐために、
麻布の織り目を埋める「こぎん刺し」が行われていました。
こぎん刺しは柄が緻密でとてもきれいです。
実は管理人は昨年「すてきにハンドメイド」で見てから
ちょっと憧れていますが、それは置いておいて…
(根気がないから作れません!)

またこの時代は、綿の栽培が広がった時期でもありました。
ところがこの綿は、茶や藍ではよく染まるものの他の色には染まりにくいそうです。
そういう面からも、江戸時代は茶色や藍が多くなったんでしょうね。
いきなり藍が出てきますが、藍染めについて詳しくは次回です。

歴史の解説の後は、柿渋で綿のバッグに型染めをしていました。
これはステンシルみたいなものと考えていいんでしょうか?

このシリーズも残すところあと2回です。
それではまた!



第8回(2月21日放送)の感想です。
今回のテーマは、本格的な植物染めの第1弾として「藍染め」でした。
藍染めは準備にとても時間がかかるそうです。
まず原料となる蓼藍の葉を
3カ月余りかけて発酵させて堆肥状の「すくも」にします。
このすくもをアルカリ溶液で溶いて
「藍が建つ」と言われる染色ができる状態になるまで、
さらに半月以上かかるということです。
放送ではこの藍染めを本格的に、しかも家庭で挑戦できる方法を紹介していました。
バケツを藍甕の代わりにし、
気温が低いときは水槽用のヒーターを使って一定の温度を保つそうです。

次回はついに最終回です。
テーマは紅花染めだそうです。楽しみですね。



第8回(2月28日放送)の感想です。
今回のテーマは本格的な植物染めの第2弾「紅花染め」でした。
日本での紅花の歴史は古く、3世紀頃まで遡れるのだそうです。
遺跡からも紅花の花粉が見つかっているそうです。
紅花染めをすると、花粉が排水溝にたまることがあるそうで、
この花粉もそういったものだろうとのことでした。
吉岡さんによると、紅花染めは少し難しいんだそうですが
(今までも十分難しいと思いますよ!?)
それでも、丁寧に作業すれば大丈夫ということでした。
染色作業では、今回も万能試験紙が大活躍でした。
乾燥させた紅花から色素を取り出すときにはアルカリ性、
布に色素をしみこませるためには酸性にすることが必要だそうです。
前回の藍染めの時は、気温が高い時期の方が適しているということでしたが、
紅花染めには「寒の紅」という言葉もあるそうで、寒い時期の方がいいそうです。
染め上がったストールの色はまさに紅梅のような色でした。
きれいな色ですね〜!

今回でこのシリーズは最終回でした。
植物染めに関心のある人、
色の歴史に興味のある人(管理人はこちら)には
とても勉強になる番組だったと思います。
興味あるのに番組を見逃したなあという方は
ぜひテキストを買ってみて下さい。
来週からは次のシリーズが始まるそうなのでお早めに!





2012年2月29日更新



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