物具装束のこと


物具装束(もののぐしょうぞく)をご存知ですか?
ざっくり言うと、平安時代に特別な儀式(帝に付き従って三種の神器の剣や玉を持つような)で
着られた豪華版十二単です。
唐衣裳装束(からぎぬもしょうぞく・いわゆる十二単)のさらに上を行く最高礼装なんていわれることもあります。
平安時代の装束について詳しい方になら結構知られているらしく、
そういう方の間での人気はかなり高いようです。
とても華やかできれいですね。

正面から

今まで十二単姿のビーズドールを何体か作ってきたので、
思い切って物具装束も作ってみました。
できあがってみるとやはり、普通の十二単姿とは比べ物にならないくらい豪華です。
奈良時代装束ファンの私(「詳しい」というワケではありません…)にとっては、
だいぶイメージがそちらに近いのもうれしいところです(笑)
なんだか龍宮城にいそうですね。
源氏物語に出てきた海系(…)の名前ならば「海竜王の后」でしょうか
(明石の君を差し置いて!作ったのは朝顔のつもり)。
高さ10cmほどのビーズドールなので細かい形はデフォルメだらけですが、
全体の雰囲気は近づけたつもりです。
色柄はかなり勝手にやらかしてます(汗)

物具装束は簡単に説明すると、唐衣と裳を着けた唐衣裳装束に
領巾(ひれ・比礼とも書きます)と呼ばれる天女の羽衣のようなものと、
裙帯(くたい・くんたい)と呼ばれる飾りの帯を加えたものです。

裙帯と領巾

普段は垂髪だったこの時代には珍しいことに、
髪を結って宝冠(ほうかん)と呼ばれる髪飾りをするのも特徴です。

宝冠アップ

唐の影響が強く現れている印象がありますね。
ではここで、奈良時代の装束、物具装束、唐衣裳装束を並べてみます。

奈良時代の装束、物具装束、唐衣裳装束

1枚の写真に収めるためにかなり寄せてしまったので、それぞれが見づらいですね…
という訳で、2つずつお見せします(最初からそうしなさいよ)。

奈良時代の装束と物具装束 奈良時代の装束と、物具装束
物具装束と唐衣裳装束物具装束と唐衣裳装束

そういえば、物具装束と唐衣裳装束では裳の形に違いがあります。
では後ろからの写真をどうぞ。

物具装束と唐衣裳装束 後ろ姿 物具装束と唐衣裳装束 後ろから

物具装束の裳には引腰(後ろに2本伸びている飾りの紐)を付けないそうです。
そもそも引腰は裙帯と領巾を着けなくなった頃に、
後ろのひらひら成分を補給するために付け始めたものらしいです。
なので、裙帯と領巾を着ける物具装束には(くどいので?)引腰はいらないんでしょうね。

☆奈良時代の装束のビーズドールはこちら
唐衣裳装束(桐壺の更衣)のビーズドールはこちら
物具装束(朝顔の姫君)のビーズドールはこちらからそれぞれゆっくり見られます。




2014年4月15日公開



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